夏
田舎の夏の朝は涼しかったように記憶している。
早朝、町内の広場(中央広場と呼んでいた)へラジオ体操をしに自転車を走らせる。
道端の草には水滴がついていた。
半袖、半ズボンで風を切っていると肌寒くさえ感じた。
朝飯の後、海外ドラマチャンネルでミステリーゾーンを見るのが好きだった。
10時から開く公園のプールの水は冷たく、中休憩の5分の間に座るコンクリートの地面は暖かかった。
正午にプールも終わり、生温かな体で浴びる太陽の光は、なんとなく淡い白を思わせた。
空はどこまでも高く、大きな白い雲が田んぼの向こう側から伸びていた。
昼に食べる冷凍エビピラフは、すこし嫌いになった。
中央広場は、住宅地開拓が進み戸建てが並んだ。
公園のプールは、今年は運営していないだろう。
それでも、空は青く、雲は白く。
思い馳せると、懐かしく。
今を生きる自分を構成する一部だと実感する。